飯山仏壇のできるまで
お仏壇の製作工程には8つの部門があり、それぞれの工程で仕上げたものを最後に組み立てて完成品とします。
これらの8部門の総合によりその製品が生まれるため、同じ飯山仏壇でも各店の技術により様々なお仏壇が造られております。
当店は塗装・金箔押し・組立の他、木地・金具・蒔絵の工程も自社内で行い、より独自性の高いお仏壇の製造を心がけております。
また、飯山仏壇は昭和50年に通産大臣より伝統的工芸品に指定され、その伝統的技法により製作されたお仏壇には「伝統証紙」が貼られております。
材料として主にヒメコマツ、杉、ホウ、カツラ、紅松等を用い、最高級品にはヒノキを用います。また、部分的にケヤキを用いることもあります。
木材は乾燥が最も重要であり、完成後に狂いの箇所が生ずることのないよう、充分留意することが必要です。また、板物にはお仏壇用に特製された合板も使用されますが、狂いが生ぜず品質の安定に寄与しております。
工程としては材料の特製を良く見たうえ、ミゾ、ホゾが充分に深く取られており、量も充分に使用されております。
また、後年お仏壇のお洗濯(再塗装)が出来るよう、分解、組立が容易にできる工夫がなされています。このようにつくられた木地を「本組みの木地」と呼び、糊、釘、ジョイント等で簡単に組まれた量産の木地とは大きな品質の差をもっております。
材料としてはホウ、松等が良く用いられます。宮殿は細工や型により「流れ」「切マス」「向拝」「二重宮殿」「入隅」等の種類に分類されており、お仏壇の大・小・価格等により用いられる種類が異なります。
普通16号(50代)以下の小型仏壇には切マス、流れが用いられ、18号(70代)以上の中型、大型のお仏壇には二重宮殿が主として使用されます。
尚、真宗大谷派(お東)は専用の東造りの御宮殿となりますのでご留意下さい。また、宮殿以外にも禅宗・浄土宗専用の堂造りと呼ばれる彫刻と組物だけの型もございます。
彫刻の精密さもお仏壇の良否に大きく影響いたします。入念に彫られた上質の彫刻が少ない時代には精巧に複製されたプラスチック彫刻も使用されていましたが、近年はほとんど使われることがなくなってきました。
材質は主に松等の木材を使用していますが、極上彫りではケヤキ、イチイ、柘植等の銘木をその木地を活かして用います。
塗装は下地塗り、中塗り、上塗りの工程に分けられますが、使用される材料と工程での塗りの回数により違いが出てきます。ご存知のとおり漆のほかに代用品としてカシュー等多数の塗料が出現しておりますが、漆以上の塗料はできておりません。
飯山仏壇には一般的に他産地のお仏壇より多くの金具が飾られております。
この金具によりお仏壇本体が保護されるとともに、華麗で重厚な雰囲気が醸し出されております。
外部金具は塗料等で着色された物より、銅・真鍮の特製を活かし、科学的に着色されたものが良い品質とされております。
一般的には黒・緋色等に色付けされております。
内部金具には本金メッキが充分な厚さで均一に施されていることが重要であります。
当店では金具の開発・製作から仕上げまで独自の技術で行っており、特に金メッキ等の仕上げを自社内で行うことにより、より高品質の金具を提供しております。
またその紋様も手打ち金具、電鋳金具、伝統的紋様の卍をあしらった金具、七宝透かしの金具等数々のオリジナル金具をご用意させていただいております。
お仏壇の扉等に豪華な蒔絵を施すことも飯山仏壇の大きな特徴の一つとなっております。
立体感を出すために胡粉等にて模様を盛り上げた後、良く磨き、漆を塗り、本金箔を押したり(箔下蒔絵)本金粉、色粉等を蒔いて仕上げます。
安価品には本金粉を用いず、代用金粉を使用したり、スクリーン印刷で描いてある場合もありますので注意が必要となります。
また、飯山仏壇以外にも蒔絵を施したものがありますので併せてご注意ください。
金具、彫刻等が木地の寸法に間違いなく合っているか、金箔の押し方、塗装に悪い点はないか等、充分留意の上検査して組立てます。
金具を打ち付ける鋲(釘)も銅・真鍮製に本金メッキ等を施したものを使用し、釘からの金具の錆びをさけます。
また、後日お洗濯(塗替)の際、分解修復が可能なように無用なのり、釘の使用はさけます。
ミゾ、ホゾで組み立てられたお仏壇はのり、釘、接着剤等で組み立てられたお仏壇と比べ収縮、ねじれ等に対して耐久性の上で大きな差ができます。